【開催レポート】2026年 金財情報システム サマーフォーラム ― 千葉興業銀行・紀陽銀行の実践に学ぶ、本業支援の"事業化"。

【開催レポート】2026年 金財情報システム サマーフォーラム ― 千葉興業銀行・紀陽銀行の実践に学ぶ、本業支援の"事業化"。

株式会社NTT DXパートナーは、株式会社金財情報システムとの共催で、2026年8月25日(火)に「2026年 金財情報システム サマーフォーラム」を東京・品川で開催しました。テーマは「二行の実践から紐解く『地域金融力強化』のリアル ― この日だから話せる、本業支援の"事業化"への道」です。現地参加限定のフォーラムで、全国23の金融機関から27名のお申し込みをいただきました。当日は、共創コミュニティ「ちばCoラボ(ちばこらぼ)」を運営する株式会社千葉興業銀行様と、「紀陽DXプラットフォーム」の構築を進める株式会社紀陽銀行様にご登壇いただきました。

 

■実施概要

· 日時:2026年8月25日(火)14:00〜16:30

· 会場:品川インターシティホール&貸会議室(東京都港区)

· 対象:地域金融機関様限定(現地参加のみ)

· 主催:株式会社金財情報システム/共催:株式会社NTT DXパートナー

 

■プログラム

· 開会のご挨拶・参加者紹介

· 講演|NTT DXパートナーの取り組み

· 両行の共通点・違いのご紹介

· 講演|千葉興業銀行様「ちばCoラボ」の実践

· 講演|紀陽銀行様「紀陽DXプラットフォーム」の構想

· スペシャルトークセッション|3社(千葉興業銀行様×紀陽銀行様×NTT DXパートナー)による対談

· 名刺交換会・交流会

 

■開会のご挨拶

冒頭、主催者を代表して株式会社金財情報システム取締役 馬場様よりご挨拶がありました。「地域金融力の強化にどう取り組んでいけばよいか、多くの金融機関の皆さまが悩まれているのではないか。本フォーラムがそのお悩みに少しでもお役に立てる内容であれば幸いです」――金融機関向けの研修・情報提供を長年手がけてきた立場からの言葉として、実践2行から学ぶという本フォーラムの狙いが示されました。

開会のご挨拶_金財情報システム 取締役 馬場様
開会のご挨拶_金財情報システム 取締役 馬場様

■当社講演|「点」の支援を、「続く仕組み」に変える

事前アンケートで、ご参加予定の金融機関から最も多く挙がった課題は「本業支援の収益化」でした。セミナーや個別相談を単発で重ねても、事業として続く形にならない――この問いを起点に、当社は「1対1」から「1対N」への転換をご説明しました。

渉外担当が1社ずつ向き合う従来のかたちでは、リソースの制約から支援先を絞り込まざるをえません。これに対し、企業同士が学び合う共創コミュニティを核に据えると、リーダー企業の実践が他社へ波及し、金融機関には企業のリアルな課題が継続的に集まります。「DXSTAR (ディーエックススター) for Bank」は、この考え方を「コミュニティポータルの構築」と「共創コミュニティ構築支援」の2つのサービスで支えるもので、当日は「ちばCoラボ」の実画面によるデモもご覧いただきました。

講演の様子_当社 徳嶺
講演の様子_当社 徳嶺

▼コミュニティ設計に「公共性の軸」を組み込む

続く講演では、コミュニティを地域に根づかせる際の3つの壁――初期の求心力、立ち上げ期の投資、メイン先の外への広がり――に、公的な制度・事業を組み合わせる設計をご紹介しました。

· 入口:国の「DX認定」制度を共通の目標に据え、熱量頼みにしない求心力をつくる

· 立ち上げ:対価が生まれる前の時期を公的資金が支え、継続は企業の実利への対価で賄う

· 広がり:自治体の産業戦略と接続し、商工団体や支援機関を束ねて面的な支援に広げる

実例として、経済産業省北海道経済産業局の事業では支援先7社全社がDX認定を取得し、うち3社で約6,000万円規模のDX投資が動き始めたこと、堺市・堺DX推進ラボと紀陽銀行様が連携した「堺DX推進ラボ DX認定セミナー 2026」には想定の約2倍となる約100名の来場があったことをご報告しました。

■同じ"面の支援"でも、狙いは同じではない

本フォーラムの中心は、同じ基盤「DXSTAR for Bank」を使いながら、設計思想の異なる2つの実践を並べて見ていただくことにありました。両行の違いを整理したのが以下の図です。

【開催レポート】2026年 金財情報システム サマーフォーラム ― 千葉興業銀行・紀陽銀行の実践に学ぶ、本業支援の"事業化"。

競合が多い市場では「選ばれる理由」を、地域で唯一の存在である市場では「取りこぼさない仕組み」を――同じ面的支援でも、置かれた環境によって設計の重心は変わります。自行にどちらの発想が近いかを考える手がかりとして、多くの参加者にご覧いただきました。

■千葉興業銀行様のご講演|「ちばCoラボ」開始1年の現在地

千葉興業銀行様は、2022年の長期経営ビジョンで掲げた「CKBコミュニティ」構想を出発点に、2025年10月に「ちばCoラボ」をサービス開始。2026年6月にはデジタルイノベーション部から営業本部・営業イノベーション室へ運営を移管し、変革の実装拠点を営業部門に置く体制へ移りました。

ご講演で印象的だったのは、コミュニティが参加企業自身の手で広がっていった経緯です。約100名が集まったキックオフイベントで「自分にも話させてほしい」と手を挙げた経営者がリーダーとなり、DX・若手後継者・ローカルゼブラという3つのサブコミュニティが生まれました。銀行主催のイベントは集客に苦労することが少なくありませんが、参加した経営者が次の経営者を呼ぶ循環が生まれ、営業店が集客に動く前に定員に達する回も出ているとのことです。

運営はわずか3名。それでも、これまでの延べ参加者は約300名にのぼり、メインバンク先ではない経営者との新規接点が着実に生まれています。コミュニティのリーダー企業の1社は、「日本DX大賞2026」でエバンジェリスト賞を受賞されました。

講演の様子_千葉興業銀行 営業イノベーション室 調査役 石川様
講演の様子_千葉興業銀行 営業イノベーション室 調査役 石川様

■紀陽銀行様のご講演|「紀陽DXプラットフォーム」の構想

紀陽銀行様は、2026年6月17日に公表した「紀陽DXプラットフォーム」の構想をご紹介くださいました。「紀陽銀行が地域のハブとなり、DX推進を通じて地域経済の活性化に貢献する」をコンセプトに、規模の大小にかかわらず中小企業を「取り残さない」ことを方針として明示しています。

背景として示されたのは、地域を問わず共通する課題として、中小・零細企業には従来のITコンサルティングが届きにくいという構造的な課題です。企業から金融機関に寄せられる期待は大きい一方で、デジタル化の相談相手としては選ばれていない――この認識のもと、企業からの相談を待つのではなく、接点の"仕組み"そのものから作るという発想でプラットフォームの設計を進めているとのことでした。

講演の様子_紀陽銀行 DX戦略部長 森田様
講演の様子_紀陽銀行 DX戦略部長 森田様

■スペシャルトークセッション|「この日だから話せる」5つの問い

後半は、両行と当社の事業責任者による45分の対談を行いました。事前アンケートを踏まえ、以下の5つの問いを設定しています。

1. 初期検討から承認までの流れ(どこから始めたか、行内の反応、承認の決め手)

2. 実際に行動してわかったこと、感じたこと(当初の想定との違い)

3. マネタイズの考え方

4. 導入の意義(企業のメリット/銀行のメリット)

5. 双方の取り組みに関するコメント

具体的なやり取りは会場限定のため割愛しますが、公開できる範囲で、両行に共通していた論点をご紹介します。

· 合意形成:短期の収益を求める部門との間で、中長期の関係構築という価値をどう共有するかが最初の関門になる。小さく始めて実物を見せることが、行内の理解を進める近道になった

· リーダー企業:「自行の地域にはいない」と思っていたリーダー企業は、営業店の推薦や自治体との連携を通じて探すと、想定より多く見つかった

· KPI:初期の指標は直接的な収益ではなく、認知の広がり・体験機会・相談件数といった先行指標に置く。融資や預金の拡大は、その先の結果として位置づける

· 副次効果:地域におけるハブとしての存在感、地域密着のブランディング、新たな顧客接点、関係の深耕――マネタイズ以外にも複数の効果が生まれている

スペシャルトークセッションの様子 (登壇者左から、千葉興業銀行 営業イノベーション室長 粟野様、同 執行役員 デジタルイノベーション部長 堀内様、紀陽銀行 DX戦略部長 森田様、当社 平塚、加藤)
スペシャルトークセッションの様子 (登壇者左から、千葉興業銀行 営業イノベーション室長 粟野様、同 執行役員 デジタルイノベーション部長 堀内様、紀陽銀行 DX戦略部長 森田様、当社 平塚、加藤)

■参加者アンケートの結果

フォーラム終了後、ご参加の皆さまにアンケートへご回答いただきました(回答25名)。

▼満足度

満足度についてご回答いただいた皆さま全員から、「とても満足」「満足」とのご評価をいただきました(無回答などを除く有効回答23名)。

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▼本業支援の推進体制

「新たな体制を検討・構築中」が約30%、「体制の見直しは必要だが未検討」が約22%。半数以上の金融機関が、本業支援の体制づくりを目下の課題としていることがうかがえます(無回答などを除く有効回答23名)。

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▼参加者の声

· 「二行から具体的な取り組み内容を教えていただけたのでとても勉強になりました」

· 「千葉興業銀行様の取り組みについて、自行と環境が近いのでとても参考となりました」

· 「特に2行の導入に向けての課題・実感が非常に参考になりました」

· 「取り組みの背景・経緯、経営のコミット、意義など共感することばかりでした。マネタイズの部分と、最終的に地域のDXがどう進んでいくのかが気になります」

■おわりに

本フォーラムであらためて見えてきたのは、「面の支援」に唯一の正解はないということです。1県に複数行がひしめく千葉県と、1県1行の和歌山県とでは、同じ仕組みを使っても狙いどころが変わります。自行が置かれた環境から設計を起こすほかありません。

もう1つは、先行する2行も、完成形を描いてから動き出したわけではないということです。小さく始めて実物を見せることで行内の理解が進み、参加した経営者が次の経営者を呼ぶ形でコミュニティが育っていく。初期の指標を直接の収益ではなく、接点と関係の蓄積に置く判断も、両行に共通していました。

当社は「DXSTAR for Bank」を通じて、地域金融機関が顧客企業のDX支援・共創コミュニティ運営を"継続事業"として展開できるよう支援しています。本フォーラムのような、実践者同士が具体的に語り合う場も継続して設けてまいります。

顧客企業へのDX支援・本業支援の"事業化"にご関心のある地域金融機関の皆さまは、お気軽にお問い合わせください。今後も、地域金融機関とともに地域企業のDX推進を後押ししてまいります。

■DXSTAR for Bankとは?

「DXSTAR (ディーエックススター) for Bank」は、これまでNTT DXパートナーが実践してきた「全国の企業300社以上へのDX支援」と「地域全体でDX推進を盛り上げる共創コミュニティ組成」のノウハウを集大成して生まれた、金融機関のための企業DX支援プラットフォームです。

DXSTAR for Bank の詳細はこちら(https://dxstar.nttdxpn.co.jp/)